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2016年2月 4日 (木)

圏外編集者 都築響一著 朝日出版社刊

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「POPEYE」「BRUTUS」を創刊から読んでいた身からすると、その雑誌の黎明期から関わっていた都築さんには興味がわかないはずはない。自分自身のライフスタイルや考え方の多くの部分を作ってきたともいえるふたつの雑誌が、どんなコンセプトで作られてきたかの一端を知ることが出来ただけでも大きな収穫だった。

 

そもそも編集会議が存在しない。「これ、おもしろそうなので、やらせてください。」とかいって、ページをもらって取材を始めちゃう。なので、ウケなかったら自分の責任だけれど、こんなに自由なことって無いと思う。モノ作りに限らず「仕事」と名のつくことをするということは、自由な発想を捨てることだと思ってきたが、考え直さなければいけないなと思わされた。自分が面白いと思うことを子供のように前のめりで追いかけることが出来るというのは、もしかしたら仕事(他のことでもよいが)を「じぶんごと」に内面化させる最も大事な要件かも知れない。雑誌というメディアを作ってきた都築さんだけれども、この本のなかに通奏低音のように流れているのは「私とは誰か」という問いをメディアを作ることで具現化していることだと思う。

 

私たちは毎日の暮らしの中で様々な選択を繰り返し、その結果自分自身を表現しているのだと思う。けれども、自分がものごとに対して成否をあらわさないものについても私たちは責任を問われることは必要だ。例えば原発にノーと言わなかったことは、ある意味肯定してきたのだともいえるのではないだろうか。

 

自分が面白いと思うことを追求していくのは、今の時代ではかなり労力が必要とされるだろう。都築さんは多くの雑誌が休刊したりと表現の場が少なくなった今、メルマガなどの「自分メディア」に表現の可能性を見出している。毎月課金を支払ってくれている読者の代わりに現場に赴き取材する。今これが面白いという、まさに「現代」を切り取ることを続けていく著者の姿をみることで、私たちはメディアのこれからについて、考えるきっかけを得ることができるのだろう。多くの出版人が、「もう出版社はダメですよ。」というのを限りなく聞いてきたが、まだまだ頭をひねる余地はあると、この本は私たちに教えてくれている。

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