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2013年10月25日 (金)

義足ランナー 佐藤次郎著 東京書籍

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全国には義足使用者が6万人といわれています。この本は義肢装具士の臼井二美男さん@鉄道弘済会東京障害者福祉センターが、義肢装具の仕事のかたわら取り組んだ「義足で走ること」の記録です。

もともと義足になった人は「とりあえず歩けるようになれば」という思いから義足をつけるそうです。歩けるようになるまででも大変なのに、義足で走るなんて思いもよらないこと。そこには義足に身体を預けることの恐怖が常にあるからだといいます。けれどもとりあえず5メートルだけでもと走り始めた人たちは皆、スポーツすることに楽しみを見出していきます。

脚を失ってしまった人たちは脚と一緒に、それまで持っていた日常生活や夢などを同時に失ってしまいます。そんな風に心の中にあいた隙間を走ることが埋めてくれるようになる。身体に障害ができたことで生じた心の隙間が、身体が動くようになると上手く補完するようになっていく。私たちは日頃不自由なく過ごしているので、こんな仕組みに気付かないで暮らしていますが、案外悩みがあるときなど身体の方から手助けしてあげると良いのかも知れません。

臼井さんは自分のもとにやってきた義肢調整の方々に声をかけ、多くの競技者をフォローしてきました。全くの手弁当でやってきた毎月の練習会も現在では「ヘルスエンジェルズ」という名前になり、数十人の参加者を集め、多くのスタッフが関わり、障害者スポーツの振興の一翼を担うようになっているそうです。

「脚をなくすまではスポーツをするなんて思いもしなかった」という人たちがスポーツを、しかも競技まで始めてしまうというのは驚きです。人間の心というのは、面白いものだとつくづく感じさせられます。

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