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2013年9月24日 (火)

一生モノの時間術 鎌田浩毅著 東洋経済新報社

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結構なペースで新刊が出る、京大の鎌田教授の最新刊です。今回は前作「一生モノの勉強法」「一生モノの人脈術」に続く第3弾です。

科学者特有の時間の使い方を、当たり前のこととして仕事をこなしていた鎌田教授が、ある時問いかけられた友人からの言葉で、自分の時間術が友人にとってはユニークに映ったという経験から、自らの時間術を検証し、戦略として統合したのがこの本です。

新しい発見をしても、誰かに先を越されたらその仕事は「無いもの」になってしまうという科学者特有の環境は、自ずと仕事と時間の関係について厳しくなってしまうのではないでしょうか。けれども、著者によるとそうではなくて、大切なのは完璧な達成ではなく、期日に間に合うことだそうです。多くの研究発表は8割程度の達成度であり、期日に間に合うことを優先してする仕事もあることを示唆しています。

このように「簡単に考える」「無理をしない」「頑張り過ぎない」という、これまでの時間術に比べると、いささかユルいかな?と思わせるコンセプトが全章に貫かれていて、誰でも無理なく時間と付き合えるように工夫されています。

全章に渡って、おもにビジネスシーンにおける時間術が紹介されているのですが、最終章で紹介されていた「人に時間を投資することの意味」が印象的です。

田中角栄さんは、結婚式などの慶事にはそれほど出席しなかったにもかかわらず、葬式には万難を排して列席していたということです。鎌田教授は、人は幸福のさなかにあるときには、あえて祝福されなくても幸福でいられるが、逆境のときにこそ、周囲の人の助けが必要だと考えた田中角栄のポリシーを評価しています。そこから、私たちに対して、「これまで、どれほど多くの人に支えられてきたのかを見直す」ことをすすめています。

他者から生かされている自分に気付いたとき、時間の使い方も自ずと変わってくるのだといいます。誰かに大切にされたとき、はじめて誰かを大切にすることができる。誰かに大切にされた分の時間を、誰かを大切にする時間として使う。そう考えることが出来るようになったとき、私たちはそれまで節約していた時間を、はじめて大事に、そしておおらかに使うことが出来るようになるのではないかと感じました。

各章ごとにいろいろ参考図書も挙げられているので、この本を読み終わった後、ぜひそちらも読んでみたいと思います。参考図書には入っていませんが、読みながら「時間泥棒」が出てくるエンデの「モモ」を思い出してしまい、読み直してみようかと思ってしまいました。

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