確かに生きる
著者:野口 健
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確かに生きる―落ちこぼれたら這い上がればいい (集英社文庫)
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野口健というと、清掃登山や環境学校など、文部科学省ご推薦のお兄さんというイメージしかなかったのですが、読んでみるとそのイメージは払拭されてしまいました。本人は別に富士山が好きだから掃除をしているわけでは無いといいます。日本の最高峰のゴミ拾いをするということに、国民が注目するという事が大事だという。「ゴミ拾いを国民運動に」なんて出来るわけ無い、という声が多かったそうですが、今では年間6000人を越える人々が参加しているそうです。
マネージャーの方があとがきで彼のことを「ドミナント・ロジックを打破する人」と評していました。ドミナント・ロジックは思い込みや固定概念のことだそうです。「そんなことやっても世の中は変わらないよ」と言われるほど執念を燃やして突き進んでいく。おちこぼれていた少年時代に、肩書きで生きることの出来る外交官の父親と違い、自分の名前で仕事をすることを誓った野口さんの「生きる道」は確かに続いているのだなあと感心してしまいました。
清掃登山についてあとがきで面白いことを言っている。エベレストでヨーロッパの登山家が日本隊のゴミの多さを指して「日本は経済は一流だが、マナーは三流だ」といわれたことで、日本人としての恥と関係者に対する怒りがきっかけになり清掃を始めたということになっている。でも本当の理由と言うのは本人にもなかなかつかめない。でもひとつわかるのは、自分の中に乾いた穴のようなものがあり、その穴を埋めようとする自分を抑える事が出来ないということだ。その穴を埋める行為こそが人生であるという。
掃除と言うのは実際には身の回りをきれいにすることですが、その行為を通じて自分の心の中を掃除していることに他ならないと思います。禅僧なども、掃除などの日常の仕事を通じて精神状態を保っているように感じますが、我々も無意識のうちに精神の安定を求めるように「自分の穴」を埋めたりしているのではないかと思いました。
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