指先で紡ぐ愛
全盲ろうという、目が見えず耳も聞こえない福島智さんという東京大学先端科学技術センター教授の奥さんが書かれた本です。テレビなどでご存知の方も多いと思いますが、普通の盲者や聾者と違い両方が使えないのでコミュニケーションの方法がとてもユニークなのです。盲者の方のコミュニケーションの方法として、盲者同士で点字を打つ機械を介して打ちだした点字のカードをやり取りすることで対話をするという方法があるそうです。
この方法を応用して、点字を打つ指先を手などの皮膚に直接あてることで指点字という手法を編み出したそうです。
目が見えず耳も聞こえないというのは「いつも真空の宇宙にいるような孤独な存在」だと福島さんは言っているそうです。そんな福島さんをサポートする著者の気持ちの逡巡もあり、案外「いい話」的な構成になっていないところが良かったです。
指先からの情報しか得る事が出来ないという事態は安易に想像する事ができません。しかしそんな事態に陥っても「ミスター・ポジティブ」といわれるほどの業績を上げてきた福島さんを支えるのは、並大抵の努力ではなかったのではないでしょうか。「君の指に触れることで、君とたわいない言葉を交わすことで、僕は自分の存在と生を実感できる」といわしめた沢美さんに拍手を送りたくなりました。
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