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2009年6月

2009年6月26日 (金)

月のえくぼを見た男

月のえくぼ(クレーター)を見た男 麻田剛立 (くもんの児童文学) Book 月のえくぼ(クレーター)を見た男 麻田剛立 (くもんの児童文学)

著者:鹿毛 敏夫
販売元:くもん出版
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あまり一般には知られていませんが、麻田剛立という学者は日本の天文学の先駆者としてとても重要な人物だそうです。この方の孫弟子には伊能忠敬がいたりと、優秀な人材を多く育てたことでも高く評価されています。

子どものころから自然に興味を持っていた剛立は徐々に太陽の動きや、暦などの天文学的な事象に興味を持つようになります。当時幕府がとりいれていた暦の間違いを指摘するなど、早くからその才能は他から認められるところとなりました。長じて医師となった後も、天文観測を続け、「先事館」という塾を開き多くの学者を育てました。当時では手に入りにくかった西洋の天文学の書物を入手し、いちはやく取り入れることで近代的な科学の手法を日本に紹介しています。

現在は科学全盛の時代で、当たり前のようにしていろいろな技術を享受しています。しかし多くの先駆者たちがコツコツと方法を積み上げ、科学の基礎を作り上げてきたのを忘れてはならないと思います。小中学生向けに書かれたものですが、とてもよく調べられており大人が読んでも面白いと思います。

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2009年6月25日 (木)

なるほどの対話

なるほどの対話 (新潮文庫) Book なるほどの対話 (新潮文庫)

著者:河合 隼雄,吉本 ばなな
販売元:新潮社
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河合隼雄さんと吉本ばななさんという、意外な組み合わせの対談集です。対談集というのは読んでいるときは面白いのですが、何が印象的だったといわれて「はて?」と困るような感じがあります。

おふたりの話でいろんなキーワードが出てきましたが、興味深かったのが「偶発性」という言葉です。18世紀ごろの小説をみてみると、偶然性に関する記述がたくさん在るといいます。それが現代に近づくにつれ、必然がうまくつながって説明できる小説が増えてくる。けれども実際の人生においては、偶然のほうが断然多く、あれこれ考えていろいろやるより良い結果に結びついたりするようです。河合先生のお仕事の心理療法でも、偶然の出来事が良い結果につながり、治療がうまくいく場合があるそうです。しかしその場合、「こうやって治療したら治りました」というのではないので、治した事にはならないという批判があるそうです。それは「偶然起こったことに意味は無い」からだそうですが、果たしてどうなんでしょうか。

吉本さんが小説を書くときも、「あのことがあったから偶然書けた」ということがほとんどだそうです。小説を読んでいるとそのようなことはほとんどわかりませんが、書いているほうはほとんどそんな偶然に助けられるようにして書いているのでしょう。自分自身も本の感想やブックガイドなどは比較的書けるのですが、まったく自由な状況で書かなければいけないときは、本当に偶然にでも頼らないと難しいと思います。

実際の人生でも偶然にささえられている部分というのはもちろん多いと思いますが、偶然に出会える技術のようなものもあるような気がします。その技術というのは、意外と偶然を探し求めるのではなく、毎日きちんとした生活をすることだったりするのではないかと読んでいて感じました。

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2009年6月19日 (金)

指先で紡ぐ愛

5153k4qj9hl 全盲ろうという、目が見えず耳も聞こえない福島智さんという東京大学先端科学技術センター教授の奥さんが書かれた本です。テレビなどでご存知の方も多いと思いますが、普通の盲者や聾者と違い両方が使えないのでコミュニケーションの方法がとてもユニークなのです。盲者の方のコミュニケーションの方法として、盲者同士で点字を打つ機械を介して打ちだした点字のカードをやり取りすることで対話をするという方法があるそうです。

この方法を応用して、点字を打つ指先を手などの皮膚に直接あてることで指点字という手法を編み出したそうです。

目が見えず耳も聞こえないというのは「いつも真空の宇宙にいるような孤独な存在」だと福島さんは言っているそうです。そんな福島さんをサポートする著者の気持ちの逡巡もあり、案外「いい話」的な構成になっていないところが良かったです。

指先からの情報しか得る事が出来ないという事態は安易に想像する事ができません。しかしそんな事態に陥っても「ミスター・ポジティブ」といわれるほどの業績を上げてきた福島さんを支えるのは、並大抵の努力ではなかったのではないでしょうか。「君の指に触れることで、君とたわいない言葉を交わすことで、僕は自分の存在と生を実感できる」といわしめた沢美さんに拍手を送りたくなりました。

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