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2009年5月

2009年5月23日 (土)

私塾のすすめ

私塾のすすめ ─ここから創造が生まれる (ちくま新書) Book 私塾のすすめ ─ここから創造が生まれる (ちくま新書)

著者:齋藤孝 梅田望夫
販売元:筑摩書房
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斎藤孝さんと「ウェブ進化論」の梅田望夫さんの対談集です。全く立ち位置の違うかに見えるおふたりがどんなお話をするのか、想像がつきませんでしたが、大変面白かったです。

おふたりの間で共通するキーワードとして「明治時代」があったことは意外でした。斎藤さんは「座右の諭吉」などの著書もありわかるのですが、梅田さんは慶應で一貫教育を受けるうち、知らずしらずの内に福澤精神が刷り込まれていたということでした。明治時代というのは、ほとんど初めてグローバリゼーションに直面した時代で、その状況はよく見てみると現代の日本の状況と似ているといいます。例えばアメリカのサブプライムがすぐに日本の経済に大きな影響を与えるように、不条理な状況で外国の影響を受けやすくなってしまっています。

幕末期の適塾などの私塾では脱藩した多くの若者が学び、そしてお互いに研鑽しあい、強くなっていったといいます。そこで私たちは、明治期の私塾のありかたに学び、現代において私塾と同様の空間を作ることは可能ではないかと言っています。その前段階としてまずはじめに、直接会ったことは無くとも、師として仰ぎ私淑するという方法を薦めています。インターネットが発展している現代では、昔と違い、身の回りの狭い世界で探すよりも、もっとたやすく「心の師」を探す事ができるかもしれません。そしてその延長として「私塾的空間」を現出することは、学びたいと願う若者と、教えたいと思う者との間を結ぶ架け橋となるかも知れません。

インターネットを活用した私塾的空間の提案など大変興味深い内容でしたが、私塾というキーワードはこれからの時代に少なからず必要になってくるのではないかと思います。新しい学びの可能性について考えさせられた1冊でした。

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2009年5月14日 (木)

大人のいない国

大人のいない国―成熟社会の未熟なあなた (ピンポイント選書) Book 大人のいない国―成熟社会の未熟なあなた (ピンポイント選書)

著者:鷲田 清一,内田 樹
販売元:プレジデント社
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自分が子どもの頃、周りの大人は大人っぽかったかなと思い起こしてみると、案外無邪気な子どもっぽい人が多かったように記憶しています。長ずるにつれ、自分が大人になるためのモデルというのを探していたのだと思いますが、生活面でのモデルはいても、精神的な面を参考にしたいと思った人はあまりいなかったように思います。

日本は長い年月をかけて他国に肩をならべることの出来る国家を作り上げ、とりあえず明日のことを心配しなくてもいい社会のシステムが機能しています。しかし、そのシステムのありがたみを意識せず暮らしていると、ひとりひとりが強くなくとも社会生活を営むことが出来てしまい、その結果多くの未熟なままの大人が生まれてしまうのです。

人が成長するための一番の糧は心の葛藤であると誰かが言っていましたが、生まれたときからすでに「消費者」の立場で社会と相対し続けた人々は、心の葛藤を感じる前に、それを回避するための様々な手段を駆使して、葛藤という精神的なリスクから逃れようとしているかのように思えます。隣人が自分の家の前にゴミを捨てていったら、直接苦情を言うのが当然ですが、それを行政のサービスの不備のように判断してしまう。直接原因と関わることを避けることで、傷ついたりすること無く平穏に過ごすことが出来てしまう。

様々な価値観と接することで、自分のなかにも様々な考え方の様式を身につけるというのが成熟するということではないかと思っています。社会的なリスクが増えている現在、未熟なままで世の中を渡っていく事が難しくなっていると感じます。未熟な人たちばかりが動かせるシステムも、このご時世ではいつかは破綻を迎えるかもしれません。そのことに気づいた人たちのなかから、「大人のいる国」を目指す動きが、そろそろ出てくるのではと期待しています。

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2009年5月10日 (日)

多読術

多読術 (ちくまプリマー新書) Book 多読術 (ちくまプリマー新書)

著者:松岡正剛
販売元:筑摩書房
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決して多読を薦めるわけではなく、楽しんで読む事が自然に多読につながるという「本読み」の達人による読書指南です。

人が本を読むということは、書いた人とのコミュニケーションだという。コンピューターのエンコードとデコードのように情報がそのまま劣化されずに受け渡されるのではなく、送る側が持っている情報を編集した断片を、受け取った読み手が自分なりのフレームワークで認識することで独自の解釈が生まれるという、ひとつのコミュニティのような関係に近いようだ。

自分自身本を読むときは、常々「書き手」の考えと自分の考えを、どれだけつなぐことが出来るかということを念頭においているのですが、そのときに大事にしていることは、「どう読むか」より「どう使う」かなのです。そのためには同じジャンルの本を「併読」したり、必ず自分だけで完結せず誰かに話したりと、読む事を一歩進めた方法を取り入れることで、ただ単に「読むだけ」で終わることを防いでいます。

「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」といいます。愚者は自分の失敗からしか学べないのに対し、賢者は他人の失敗からも学べるということでしょうか。本を読むということは、たくさんの先人たちの失敗や成功にアクセスすることの出来る最も手っ取り早い手段です。先人の知恵をうまく咀嚼して、よりよく生きる事が出来ればと思います。

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