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2009年3月

2009年3月23日 (月)

なぜ日本人は劣化したか

なぜ日本人は劣化したか (講談社現代新書) Book なぜ日本人は劣化したか (講談社現代新書)

著者:香山 リカ
販売元:講談社
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なんとなく読んだ後に気が滅入ります。活字、モラル、社会、生きる力などの様々なジャンルで日本人は劣化しているという、気の滅入るお話です。

2000年から大学で教員をやることになった香山さんは、あるとき同僚から「学生の単位の問題には気をつけたほうがいい」と助言されます。テストの成績などから、「不可」をつけた学生や保護者からクレームをつけられるというのがその理由でした。しかし香山さんが実際に目にしたのは、「不可」という評価をうけた学生が「私ってダメ人間なんですね」と傷つき、長きにわたって心にダメージを受けた姿でした。精神科医である香山さんは、大学と病院というふたつの職場が、地続きであるかのような錯覚に陥ったといいます。

このような精神面だけでなく、数値的に測ることのできる能力においても我々日本人は劣化していると香山さんは指摘しています。社会の様々なところで起きている後退現象をきちんと認識して早急に対策を施さないと、ますます劣化は進んでいってしまう。毎日の生活のなかからでも、日本人のリテラシーやモラルの低下は肌で感じるところです。自分自身も他人事ではなく、いろんな手段で少しでも歯止めをかけなければと思わされました。

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2009年3月16日 (月)

17歳は2回くる

17歳は2回くる おとなの小論文教室。(3) Book 17歳は2回くる おとなの小論文教室。(3)

著者:山田 ズーニー
販売元:河出書房新社
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「ほぼ日刊イトイ新聞」の人気コラム、「おとなの小論文教室」をまとめた本です。小論文教室というより、「手探りしながら世間を泳いでいく力」や、「人とつながる力」、「自分を表現する力」に一緒に気づきましょうという趣があります。

読者からこんなメールが届きました。

「デザインに憧れ広告代理店を飛び出し、運良くデザイン事務所で働けることになりました。しかしその主宰者のデザイナーは著名な方なのですが、徹底的に自分の好きでないものを否定するのです。「好みの地獄」ともいえるほど狭い範囲で仕事をしていると、デザインというのがくだらないものではないかというマイナス思考に支配されそうになります。クリエイティブというのは、不自由なものなのでしょうか。」

そこで著者の山田ズーニーさんは、知人で「an an]を立ち上げたことでも知られるアートディレクターの新谷雅弘さんに聞いてみることにしました。新谷さんが「デザインって、もしかしたらくだらないものなのかも」と長く思っていたことを聞いていたからです。

新谷さんはこの話を聞いたときに、他人の美意識や人間観、生き方について第三者が軽々しく言うべきではないが、自分自身がそんなときどうするかは言ってもいいだろうと考えました。そして、高校生の時に出会った「いま、その人の身に起こっていることは、その人にふさわしい」という言葉を相談者におくりました。

苦しいときやつらいときに、その原因が自分自身にあると思いたくないのが人情だと思います。しかしそうやって自分自身に向き合うことでしか、人は成長できないのだと思います。自分の選んだ状況にどんな意味をもたらすかは自分だけなのだと思います。

でも、とてもいいことが起こったときもそれは「自分にふさわしい」と思えるような心の準備はしておきたいものです。

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2009年3月13日 (金)

3分でわかるラテラル・シンキングの基本

3分でわかるラテラル・シンキングの基本 Book 3分でわかるラテラル・シンキングの基本

著者:山下 貴史
販売元:日本実業出版社
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ラテラル・シンキングというとあまり聞き覚えの無い言葉ですが、「水平思考」というとお聞きになった方も多いと思います。ロジカル・シンキングが「垂直思考」とすると、ラテラル・シンキングが「水平思考」で、対になって紹介されることが多いですね。

それでは物事を論理的に垂直方向に深く掘り下げるロジカル・シンキングと違ってラテラルシンキングはどう違うのでしょうか。ラテラル・シンキングは水平思考と呼ばれるように、思考を水平に展開、移動する考え方です。前提を疑ったり新しい見方をするといった、「違った観点、違う側面」からの思考法のことです。

面白い例として、伊勢丹での店舗戦略のことがあげられていました。通常、商品の陳列スペースは「売り場」と呼ばれていますが、伊勢丹では「買い場」と呼んでいます。「売ろう」という店側の論理を顧客に押し付けるのではなく、買う側が主役であることを意識するためにそんな呼び方をしているそうです。

私たちはどうしても自分の立場でしか物事を考えがちですが、ビジネスの場において役割を逆転したり視点を変えてみることで新しい気づきが得られると言います。垂直思考と水平思考は組み合わせて使うことで深さだけでなく幅のある立体的な思考が可能になります。マーケティングのジャンルで使われる考え方ですが、いろんな職種で使われるようになると面白いなあと思いました。

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2009年3月10日 (火)

橋本治と内田樹

橋本治と内田樹 Book 橋本治と内田樹

著者:橋本 治,内田 樹
販売元:筑摩書房
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橋本治の話すことをウチダ先生が聞くという、珍しい組み合わせの対談集です。ウチダ先生が聞き役に徹しているというのは、ちょっと新鮮な感動があります。

村上春樹が小説を書くときに必要なのが、「僕」と「読者」ともうひとつ、「うなぎ」だそうです。煮詰まってくるとうなぎを呼び出していろいろたずねるのですが、そうするとうなぎは「ああしろ」とか「こうしろ」とか言うそうです。それでいいとかだめとか言うけれども、うなぎが出てくるとますます事態は混乱してしまうそうです。

橋本先生の場合はそれが「左肩」だそうで、左肩でどうも身体のバランスをとっているような感じらしい。足場を支える支点なのでしょうか。仕事を依頼されるときに直接左肩に聞いたりするのではなく、左肩に開いている井戸みたいなものを見て、「もつかな、もたないかな」って見てるような感覚だそうです。

というようなわかったようなわからないような話がとりとめもなく続いて、私としてはとても面白かったのですが、こういうのを読んでいるとどこかで誰かとこういうとりとめの無い話を際限なくしたい衝動に駆られてしまいます。だれか時間のある方、私ととりとめのない話をしに来てください。お願いします(ウソ)。

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2009年3月 3日 (火)

白川静

白川静 漢字の世界観 (平凡社新書) Book 白川静 漢字の世界観 (平凡社新書)

著者:松岡 正剛
販売元:平凡社
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ほぼ晩年に「字統」「字訓」「字通」を立て続けに著した白川静さんの評伝は、この本が出る前は無かったそうです。あまりに大きな存在であった白川さんの業績を評するのは、非常に困難だったからなのでしょう。この本の著者の博識で知られる松岡さんでさえ自分にできることは、「白川静というあまりに巨大な山岳や山脈のところどころに分け入って、多少の地図や立て札をつけてみる」ことだけだといっているほどです。

漢字には文字が生まれる以前の、悠遠なことばの時代の記憶があると言います。漢字の持つ形は、それが成立した時代の人びとの考え方や暮らしを、具体的にあらわしています。

私たちは日頃使っている漢字に、そのようなヒストリーやエピソードが隠されていることはあまり意識していないように思います。しかし、漢字というのはただ単に「フォント」というだけではなく、もっと力を持ったものだったはずです。子どもが生まれたときに漢字辞典などをにらみつけ、漢字の持つ意味を必死に読み取ろうとした記憶がある方も多いと思います。

もともと中国からやってきた漢字ですが、それをうまく取り入れ仮名と組み合わせて使いこなしてきた我々だからこそ、もういちど漢字の持つ力を認識し、書き言葉や話し言葉の正しい使い方に目を向けることが大切だと思います。検定ブームでどれだけ漢字を知っているかといった雑学的な知識がもてはやされていますが、歴史の流れの中で生き続けている漢字について、もういちど正しい認識を持つことが大切なのではないでしょうか。

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