最後の冒険家
著者:石川 直樹
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最後の冒険家
販売元:集英社
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気球による太平洋横断。聞いただけではなかなかイメージできませんが、読んでみると普通の人では絶対不可能だと言うことがわかります。地上では登山や極地探検など、さまざまな冒険が成し尽くされてしまっていますが、空と海ではまだまだ可能性があるようです。
この本は「植村直己冒険賞」を受賞した故神田道夫氏に、サポートとして太平洋横断に関わった著者が贈ったメモワールです。著者ははじめの横断に同行しますが墜落して着水し、偶然通りかかった貨物船に命からがら救助されます。その後、サポートを得られなくなった神田氏は単独で横断を試みますが、太平洋上で消息を絶ちます。
太平洋を気球で横断するには、高度8000メートル付近のジェット気流に乗り、時速150キロ程度のスピードで航行しなければ、燃料の関係で途中で墜落することになるそうです。想像以上にタフな状況に人間はどこまで耐えられるのでしょうか。気温マイナス40度、酸素は地上の三分の一という過酷な状況で、ガスバーナーを操り高度を維持しなければならない。はじめは気球で飛ぶのが冒険なのかと思ったものですが、紛れも無い「冒険」そのものでした。
結果として神田氏は生還することはかないませんでしたが、冒険に命を捧げたことは本望だったかもしれません。彼は最後の通信で「飛べるところまでいく」といったそうです。植村さんもマッキンリーで行方不明になる前に「何が何でもマッキンリー登るぞ」と書き記したと言います。冒険家が強い決意を表すときは、同じように窮地に陥り「どうも勝ち目が無いな」と感じたときなのでしょう。日常では得られないこういった極限の状況は、直接味わう術はありませんが、このような本を読むことで人間の尊厳や生き方を見直すことができると思います。
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