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2008年12月

2008年12月31日 (水)

街場の教育論

街場の教育論 Book 街場の教育論

著者:内田 樹
販売元:ミシマ社
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この本は内田先生が奉職されている、神戸女学院大学の大学院での講義録を編集したものです。普段の著作と違い、かなり優しく書かれているので、ウチダ初心者の方にもお勧めです。

日本の教育界の抱える問題については、実際にたずさわっている方たちほど見えにくくなっているのかもしれません。そんな時必要なのは、自分の前にあるだろう壁の高さについて、俯瞰して見ることができる余裕ではないかと思います。

私は書店で学習参考書の売場を担当し、参考書メーカーの営業さんや編集者さんと長くお付き合いして来ましたが、この業界が教育にどこまでコミットできるのだろうかという疑問に少し手ごたえを感じはじめました。

教育をめぐるすべての活動の中心はいったい何でしょうか。それは中央集権的な教育行政でも、PTAでもありません。それは「教師と子ども」だけなのです。

例えば無人島に漂着した教師と子どもたちが衣食のめどがついて、「そろそろ勉強をはじめようか」といって先生が話し始めたとき、その話はけっして受験勉強のためのものでないことは明白です。教育したいという想いと学びたいという欲求は、無人島でもおそらく変わりなく出てくると思います。それは学びの本質が「ここではないどこかとつながる回路を開く道筋をつくる」ことにあるからです。無人島にいる子どもたちは閉鎖された空間のことを忘れて、先生の語る「ここではないどこか」に想いを馳せることができるのです。

そんな「先生と生徒」の関係に私たちはどんな形でコミットできるのでしょうか。それは学ぶ者にとってブレイクスルーをもたらすメンター的役割だと思います。自分自身をそれまでより高い位置から見返すことができる視点を与える役割。これはたぶん人間でなくてもできるはずです。そんな教材を提供することを目的とすることで、「教える人と学ぶ人たち」により積極的に関わっていけるのではないかと考えています。そんな風に考えると、自分の仕事についてまた異なった視点で取り組むことができるのではないかと感じました。

今日もごらんいただきありがとうございます。来年もよろしくお願いいたします。

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2008年12月26日 (金)

意欲格差

意欲格差 Book 意欲格差

著者:和田 秀樹
販売元:中経出版
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教育、所得をはじめとして、さまざまな分野で格差が蔓延している。著者は格差の根源は、上位層と下位層の間にある意欲の差にあるのではないかと提言している。

この意欲格差を引き起こす心理について、こんな指摘がある。団塊の世代の持っている学歴社会に対する敗北感が、その子供たちに心理的な悪影響を及ぼしているということである。

ベビーブームに生まれた団塊の世代の人達は、「四当五落」と言われるような猛烈な受験戦争をくぐりぬけて成功した人もいるが、多くは合格キップを手にすることができなかったという。考えてみれば受験の合否で人生が決まってしまうということはないと思うが、勝ち組になれなかった敗北感がいつまでも消えないという、世代に共通した心理状態があるのではないかと指摘する。そしてその心理が子供に対する期待感の薄れにつながり、子ども自身のやる気の無さに少なからず影響を及ぼしているのではないかと危惧しているのだ。

「ピグマリオン」という言葉をご存知かと思います。教師や親が期待することで、子どもの成績が良くなるということですが、前述の心理状態はピグマリオンとは真逆のベクトルだと言える。

現在の格差社会で簡単に解決できることは少ないかも知れませんが、「自分が変われば周りが変わる」という言葉があるように、自分の心理をよく分析して、問題に対処すれば、開けなかった道が開けることもあるように思います。

今日もごらんいただきありがとうございます。

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2008年12月24日 (水)

神との対話

神との対話―宇宙をみつける自分をみつける (サンマーク文庫―エヴァ・シリーズ) Book 神との対話―宇宙をみつける自分をみつける (サンマーク文庫―エヴァ・シリーズ)

著者:ニール・ドナルド ウォルシュ
販売元:サンマーク出版
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先日、ある方と話していた時に、話の流れで相対性の起源について、この本で読んだことを思い出し説明しました。そのときは何の本か思い出せなかったのですが、家に帰って調べてみたらこの本だと気がつきました。

この本の著者はある時神様に向けて手紙を書いていたのですが、ペンを置こうとしたら自然にペンが動き出し、神からの返事を記しはじめたというのです。日本だと「お筆書き」といって、例えば新興宗教の教祖に神様が乗り移って勝手に手が動き、神のメッセージを自動書記するというような、ちょっとオカルトじみたやつですね。でも、そのことを除くと、私が今まで読んだものの中ではもっとも説得力のある自己啓発本だと言えると思います。

その相対性についても、こんな説明を「神」はしてくれます。

『今の世界が始まる前には「存在のすべて」だけがあり、他には何も無かった。裏返せば、他に何も無いので「存在のすべて」も比べる物が無い。つまり「無い」のといっしょだ。「存在のすべて」は自らが「存在するすべて」であることの素晴らしさを知ってはいたが、体験的に知ることができなかった。なぜなら、「素晴らしい」という概念が相対的なものだったからだ。すなわち、素晴らしくないということがわからなければ、素晴らしいということがどんなものかを知ることはできなかった。

そこで「存在のすべて」は自らを「これ」と「あれ」、そして「どちらでもないもの」に分割した。これが相対性の始まりだ。この3つができて、はじめて時が生まれた。なぜなら、ここにあるものが、次にあそこに移動するとすると、ここからあそこに移る時間が計測できたからだ。人間の営みの根源はすべてこの「相対性」にある。感情の根源も基本は「愛」か「不安」のバリエーションであり、それ以上でも以下でもない。』

人間はこのバリエーションの部分で、悩んだり喜んだりしているのでしょうが、大きな悩みにぶち当たった時でもシンプルに考え直してみると、良い結果につながるのではないかと教えてくれているように感じます。

「神」に違和感のある方は、その部分を「自然」とか「宇宙」に代えて読んでみると読みやすいのではないかと思います。悩みの多い方にお勧めの一冊です。

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2008年12月19日 (金)

BLUTUS 2009 1/1・1/15合併号

『BLUTUS』の2009年、「生き方」を考える250冊特集が面白い。チェ・ゲバラ、向田邦子、須賀敦子、伊丹十三、椎名林檎(!)などを取り上げ、「男が惚れる男、女が憧れる女」として紹介。

綴じ込み付録の「2009年のキーパーソン30人を知る本ガイド」も、BRUTUSの選んだ30人を著作とともに紹介している。30人の中に、このブログでも紹介した「奇跡のリンゴ」の木村秋則さんと「ぼくは猟師になった」の千松信也さんが登場していたのはうれしかった。

この特集のうまいところは、時代のキーワードをキーパーソンを選ぶことを通じて読者に間接的に理解させようという、ある意味記号操作のようなところにあると思います。ここに取り上げられた人達は別に時代を象徴するために生きていたり、仕事をしているわけではないのでしょうが、編集者からみるといかにも時代を背負って生きているように見えてしまうのでしょう。

私も読んだことが無い本ばかりが紹介されていたので、いくつか読んでみたいと思います。

今日もお読みいただきありがとうございます。

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2008年12月17日 (水)

天才の時間

天才の時間 Book 天才の時間

著者:竹内 薫
販売元:エヌティティ出版
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ニュートン、アインシュタイン、スティーブン・ホーキング、カント、それから北野武までと、さまざまな分野で天才といわれた人々の共通することは何か?それは偶然人生のある期間に、仕事を干されたりいろんな状況になって、ひとつの事に集中せざるを得ない、ある意味「長い休暇」のようなを時間を持ったことです。

天才たちもはじめから天才だったわけではない。偶然天から与えられたともいえる空白の時間を活用し、たくさんのアイデアを積み重ね、そしてブレイクスルーしていったのです。

ニュートンの場合を例にとると、彼にとっての休暇の時間は、ニュートンが大学在学中にイギリスでペストが大流行した時期でした。大学が閉鎖され故郷に帰ったニュートンにひとつのギフトがありました。それは、義父が残してくれた新品のノートでした。当時は紙のノートは貴重品だったので、彼は有り余る時間を利用して、自分のアイデアを隙間無いほどメモしていったといいます。そして、そのノートにつづられたアイデアたちが後の偉大な業績につながっていったのです。

最近身近でもよく聞くひきこもりなども、いいかえれば人生の休暇のようなものかもしれません。不謹慎な考えかもしれませんが、考え方を変えればその期間にかもしだされたものが、その後に世の中を変えるような新しい発見となって出てくるような気もします。

今日もお読みいただきありがとうございます。

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2008年12月15日 (月)

ジャズの巨人 オスカー・ピーターソン

たまには音楽ネタで。

昨日、NHKのHV特集で表題の番組が放送されていました。ピアニストの小曽根真さんがオスカーの魅力を分析しながら、自らもオスカー風のスィングジャズを披露するという、とってもおいしい番組でした。

「えっ?なに?だれそれ?」とかいう人もいらっしゃると思いますが、別にジャズを聴いてくださいという話ではありません。番組のなかでこんなことを言ってたんです。

ミュージシャンは自分の音が一番好きでないと、聞きに来ている人に対して「どうぞ私の音を聞いてください。」ということができない。それには、真剣に自分の音に向き合って精進しなければならないんだということです。

小曽根さんもはじめはオスカーのコピーをして、オスカーのように弾ければとてもハッピーだったそうです。でもプロになり、自分のオリジナリティで勝負しなければならなくなったとき、自分も同じように自分が作った音楽を心から楽しめるようにならなければ本物では無いと思ったそうです。

これって音楽やサウンドという言葉を、別の言葉に置き換えてもいけるかなと思うんです。仕事とかでもいいし、いろんなことが当てはまると思うんです。

小曽根さんは3回ほど握手をした仲で(サインしてもらったとき)、ちょっと話をしたこともあるんですけど、まず楽しむということが大切だとおっしゃってました。息子が音楽を続ける上で何かアドバイスをいただけますか?とお願いしたとき迷わず「楽しんでください。」といわれたものです。いろんな場面で楽しく過ごすことができるようになるには努力が欠かせないでしょう。それを見越しての言葉だったのかなあと、テレビを見ながら思っていました。

今日もごらんいただきありがとうございます。

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2008年12月11日 (木)

さよならプレイボーイ

月刊プレイボーイ日本版が2009年1月号をもって休刊になります。いろんな意味で感慨深いものがありますね。

プレイボーイというとヌードはさておき、やはり真骨頂はロングインタビューだったと思います。たぶん綿密に事前の取材があって、それからインタビューするという手順ではないかと想像するのですが、その記事を読むまではどんな人か知らなかった人でも、読んだあとにはさらに興味が出てくるというようなインタビューの教科書のような内容だったと思います。

以前に「ルーツ」の著者のアレックス・ヘイリーがプレイボーイ誌のインタビュー作法について書いていたのですが、「インタビューする相手に対して70パーセントくらいの好意を持って接するのが基本的なスタンスである。」ということでした。というのは、100パーセントの好意を持って話していると、インタビューされる側は案外本音を言わないそうなんです。そこで、3割の批判的な質問を加えて少しスパイスを利かせることで、相手の本音をうまく引き出すことができるようです。

ある映画監督のインタビューで記憶に残ったシーンがあります。

「あなたは今まで3回離婚されていますが・・・。」

「あたりまえだ。なんで短い人生なのに、我慢してつまらん相手と一緒にいなきゃならんのだ!」」

という短いやり取りでしたが、結構この記事を読んであまり好きでなかったこの監督のことを逆に好きになってしまったのを覚えています。

今日もブログをお読みいただきありがとうございます。

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2008年12月10日 (水)

漂流記の魅力

漂流記の魅力 (新潮新書) Book 漂流記の魅力 (新潮新書)

著者:吉村 昭
販売元:新潮社
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「ロビンソン・クルーソー」や「十五少年漂流記」などは、幼いころに誰もが一度はとりこになったと思います。ご多分に漏れず、自分も漂流者気取りで自宅の庭に小屋をつくり、毎日漂流しておりました。

吉村昭さんは当初「戦艦武蔵」や「破獄」など、綿密な取材やインタビューを基にした記録文学を書いておられましたが、徐々にその物語を直接知る証言者が高齢のため亡くなっていったためきちんとした取材ができなくなり、方針を転換します。歴史の事実を古文書などで検証し、それを元に小説を執筆するようになったのです。

吉村さんは若いころ、鎖国をしていた日本で、嵐のため漂流した荷船がかろうじて異国にたどり着き、ごくまれに帰還した者たちを取り調べた奉行所の吟味書が残されていることを知った。そのいくつかを読み、漂流について小説を書いてきました。

この本では、漂流記を中心とした海洋文学についての概要や、歴史的な背景について説明した後、おそらく日本人初の世界一周の果てに日本に帰りついた「若宮丸」の水主たちの漂流記が紹介されている。詳細につづられた丁寧な文章により、数百年前の漂流者たちの様子が生き生きと描かれています。しばし、江戸時代に異国の地に流れ着いた日本人たちの生き様に、心を遊ばせるのも一興ではないでしょうか。

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2008年12月 9日 (火)

これでいいのだ

これでいいのだ―赤塚不二夫自叙伝 (文春文庫) Book これでいいのだ―赤塚不二夫自叙伝 (文春文庫)

著者:赤塚 不二夫
販売元:文藝春秋
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子供のころから赤塚さんの漫画は大好きで、リアルタイムで楽しませていただきましたが、どんな人生を送ってこられたのかはこの本を読むまでほとんど知りませんでした。

戦争中の旧満州で生まれ、お父さんは特務警察官。反日思想の中国人ゲリラと命を張って渡り合う日々。家族といえどいつ襲われ皆殺しになるかもわからないという、死と隣り合わせの生活を送った満州時代。

戦後、命からがら帰国するも、幼い妹はすぐに亡くなってしまう。せっかく帰ってきた日本でも、とても貧しい生活だった。家庭を維持できず、親戚に預けられて育った赤塚さんですが、そんなときでも仲間たちと楽しく遊ぶことは忘れなかった。子供がやりたいと思いつく限りの遊びやイタズラをやりつくし、後年のギャグ漫画そのものの毎日を送る。そんな苦労と楽しみの積み重ねが、後に多くの漫画のアイデアに結びつき、多くの人達に愛されたのだと思いました。

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2008年12月 8日 (月)

納棺夫日記

納棺夫日記 (文春文庫) Book 納棺夫日記 (文春文庫)

著者:青木 新門
販売元:文藝春秋
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元は桂書房という地方小出版流通センター扱いというマイナーな出版社から出ていたもの。なぜか地元の図書館には収蔵されていたのが意外でした。この本は映画「おくりびと」のモデルになったらしいです。

それはさておき、実際に納棺にたずさわっているひとの文章というのは、なかなか読む機会などないものです。はじめは興味本位でしたが、毎日死者と接する著者の視点に、自分の持っている「死生感」との違いを重ね合わせ、「死」について考えさせられました。

毎日死者の顔を見ていると、どの顔もほとんどが安らかな顔をしているそうです。それは生きているときに、どのような善いことや悪いことをしていたのか、まるで関係の無いようだといいます。

「我々は、自分の立っている所を基点にして、思考したり言葉を発したりするしかないわけで、例えば善悪を考える場合でも、自分は善人であると思っている人と、自分は悪人だ、と思っている人では、その善悪の様相も違ってくる。」

ということは、例えば現世で悪の限りを尽くしたような人でも、自分の人生をまっとうしたという点では、その人にとっては良い人生だったのでしょうか。

私たちは、生きているという立場からしか「生死」について言及することはできません。しかし、身近な人の死に接したとき、想像力を働かせることで死者と対話することもできると思います。そして、そこから自分の今立っている位置を見つめなおすこともできると思います。いままでと逆の方向から自分を見直す、メタ認知のような視点で人生について考えるのも面白いかなと思いました。

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2008年12月 4日 (木)

サラリーマン合気道

サラリーマン合気道―「流される」から遠くに行ける Book サラリーマン合気道―「流される」から遠くに行ける

著者:箭内 道彦
販売元:幻冬舎
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著者の箭内さんは、NHKテレビの「トップランナー」で司会をしているあの金髪の方です。どんな方か知らなかったんですけど、東京芸大卒で博報堂を経て、現在は広告全般を広く手がけておられるようです。

広告業界のいわゆるクリエーターという方々は、個性を売りにしている人が多いのだと思っていましたが、一概にそうでもないようです。 広告業界で必要とされている人材は、みんなと同じことをしたいという気持ちを否定せず、奇抜で新しいことを表現していけるようなバランスの取れた人だそうです。クリエーターといえども、お客さんとコミュニケーションをしながら仕事を進めるわけで、人と変わっているだけではやっていけないのですね。他人と同じ部分が土台にあるからこそ、人と違う部分が生きてくるのでしょう。

タイトルにもある「合気道」の基本は「脱力」だそうです。これは、ダラダラしたりすることではなく、余分な力を入れないという意味です。「自分はこうだ」というこだわりを捨てて力を抜くことで、相手の持つ能力を自分の力に変えてしまうという、まさに「合気道」の極意に通ずる手法はとても興味深いと思いました。

自分ひとりで思いつくことは小さいものです。目の前の相手とコミュニケーションすることで相手からいろんなものをいただき、そこから新しいものを生み出せばいいと考えを変えることで、仕事がもっと楽しくなるかもしれません。

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2008年12月 3日 (水)

希望格差社会

希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く (ちくま文庫) Book 希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く (ちくま文庫)

著者:山田 昌弘
販売元:筑摩書房
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4年前にこの本がでた時は非常に話題になりましたが、それから時間がたっても社会の状況は悪くなる一方です。

著者は若者が社会的弱者になるという点と、そのことが社会に今後大きな影響をもたらすということを指摘しています。その原因としていくつかありますが、主に社会のリスク化と二極化があげられています。以前は社会のいろんな場所(国家や会社など)で個人に代わって吸収してくれたリスクを、個人がそのリスクをとることが強制されるようになったことと、もうひとつは、中流社会が崩壊し、勝ち組負け組の言葉通りに格差が拡大してしまったことが引き金になっているといいます。

大人になるまでにある程度の選別をするシステムは昔からあって、そのシステムが産業構造などの変化によってうまく機能しなくなったのも一つの要因だとしています。小学校から大学、大学院までのパイプラインのようなシステムを通過することで、若者たちは選別されていきます。そのシステムはずっとうまく機能していたのですが、最近になって出口が急に細くなってしまい、パイプに入ってもどこへ出られるのか予想がつかなくなり、システム自体に信頼感がなくなってしまった。その結果若者たちは、勉強に対するモチベーションを持つことができなくなり、学力格差が広がってしまった。そのことが、将来に対する「希望」の格差にもつながっていったのです。

学んでいるときの人間は、不透明な未来に向かってすすんでいる状況にあります。先を見すぎて希望をもてない人が増えている状況を改善させるには、若者たちがいま居る場所が人生の中でどんな位置にあるのかを、教育の現場で教えていくことが必要なのではないかと感じました。

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