街場の教育論
著者:内田 樹
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街場の教育論
販売元:ミシマ社
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この本は内田先生が奉職されている、神戸女学院大学の大学院での講義録を編集したものです。普段の著作と違い、かなり優しく書かれているので、ウチダ初心者の方にもお勧めです。
日本の教育界の抱える問題については、実際にたずさわっている方たちほど見えにくくなっているのかもしれません。そんな時必要なのは、自分の前にあるだろう壁の高さについて、俯瞰して見ることができる余裕ではないかと思います。
私は書店で学習参考書の売場を担当し、参考書メーカーの営業さんや編集者さんと長くお付き合いして来ましたが、この業界が教育にどこまでコミットできるのだろうかという疑問に少し手ごたえを感じはじめました。
教育をめぐるすべての活動の中心はいったい何でしょうか。それは中央集権的な教育行政でも、PTAでもありません。それは「教師と子ども」だけなのです。
例えば無人島に漂着した教師と子どもたちが衣食のめどがついて、「そろそろ勉強をはじめようか」といって先生が話し始めたとき、その話はけっして受験勉強のためのものでないことは明白です。教育したいという想いと学びたいという欲求は、無人島でもおそらく変わりなく出てくると思います。それは学びの本質が「ここではないどこかとつながる回路を開く道筋をつくる」ことにあるからです。無人島にいる子どもたちは閉鎖された空間のことを忘れて、先生の語る「ここではないどこか」に想いを馳せることができるのです。
そんな「先生と生徒」の関係に私たちはどんな形でコミットできるのでしょうか。それは学ぶ者にとってブレイクスルーをもたらすメンター的役割だと思います。自分自身をそれまでより高い位置から見返すことができる視点を与える役割。これはたぶん人間でなくてもできるはずです。そんな教材を提供することを目的とすることで、「教える人と学ぶ人たち」により積極的に関わっていけるのではないかと考えています。そんな風に考えると、自分の仕事についてまた異なった視点で取り組むことができるのではないかと感じました。
今日もごらんいただきありがとうございます。来年もよろしくお願いいたします。
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