種まく人 玉村豊男 新潮文庫
41歳のとき過労とストレスで大量の吐血をし輸血を受けた玉村さんは、肝炎になってしまった。そのとき以来、これまで生きてきた期間より短い期日のうちに自分は死ぬのだという認識を、身の傍らにおいて過ごすようになります。
この本には軽井沢で暮らしていた著者が、自分の「死に場所」としてふさわしい土地を探し求め、その土地で農園主として生活を始めるまでの顛末が記されています。
人は人生の残り時間を感じ始めたときから、より真剣に人生を生きようと思うのかもしれない。「死を想う」という言葉がありますが、まさに死を想うことで、より「生」の尊さが認知されるのでしょう。
こんな文章があります。
「日がな一日雑草取りに時間を費やしたとしても損もしないし、得もしない。それは、私たちが生まれてくる前に長い長い無辺際な時間があり、私たちが死んだあとにまた無辺際な時間が永遠に続くのに似ている。」
軽妙なタッチで重要なことをさらりと書いてしまう。こんな風に自分も書ければ良いなあと思います。
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